保育園や幼稚園の巡回相談をしていると、「ことばの発達」について聞かれることが圧倒的に多い印象があります。それはなぜなのか……と考えた時に、

私的には、ことばが コミュニケーションのツール だからだ。という答えが出てきます。

保育士や幼稚園教諭の先生が子どもと関わる中で、1番身近に感じるもの……それがことばであるからなのかなと。他の子どもと比較しやすく、日ごろの活動の中で目立ちやすいということばの特性も、気になってしまうポイントの1つのような気がしています。

さて、このように「ことばの発達」について保育者の先生から相談を受けた時に、初めにお聞きする情報が、対象児の発達年齢です。ことばには、もちろんですが発達段階があります。きっと、保育者の先生方も発達年齢とことばの発達を比較して『この子ちょっとことばが遅いかな?』という予測を立てられるのではないでしょうか。

【ことばの発達段階】

一般的に良く言われている言語発達の段階が、

  • 1歳前後で初語(初めて発した意味のあることば)
  • 2歳前後で二語文(ワンワン、イタ など)
  • 3歳前後で三語文

というような発達です。大学や専門学校で子どもの発達を学ぶと、このように習うことが多いと思います。実際にその講義の中でも「発達には個人差がある」という話は聞いていると思いますが、現場に出てみるとどうしても他児と比較してしまうのかなと感じます。

ですが皆さんの身長が違うように、子ども達のことばの発達はそれぞれです。上記に記載させていただいた発達は、あくまでも基準ですので1つの参考程度にすぎません。

ことばというのはコミュニケーション手段の1つですから、子どもにとっても他者と関わるための術になります。ことばの発達が周りと比べてちょっとゆっくりかな? と感じた保育者の方がいらっしゃれば、その子は

「他者と関わることに興味があるかどうか」

を一度確認してみてください。もし、関わりを好まず1人遊びなどが好きな場合などは、コミュニケーションの基盤である社会性の発達を伸ばしていく必要がありそうです。

子どもの言語発達段階において、3歳くらいを過ぎると多弁傾向になるというものがあります。これは、ことばを活用し、コミュニケーションをとることが楽しいと感じた結果になります。つまり、ことばを使うことで自分自身が楽しくなれる! ということを子ども自身が感じ取ること、これが言語獲得への近道なのかなと私は思っています。

ここで1つ注意をしておきたいのが、ことばの遅れを感じた時に聴覚は正常に働いているかどうかを確認することです。ことばというのは言うまでもなく目には見えず、大変抽象的なものです。音を感じ取る聴覚器に何か問題があり聞こえない、などの問題がある場合には、まずそこを改善することが大切です。聴覚が正常であった場合に社会性の取り組みを積極的に取り入れていく、というステップを踏んでください。

長くなってしまいましたが、ことばの発達は子どもによって様々です。今回は、ことばを話すためには社会性の発達が必要になるということを簡単にお話しました。何か質問などがありましたら、お気軽にお問い合わせください。